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幽霊の仕業?!と思ってしまった異例の器材トラブル

P9120245.jpg

今日は前回の続きで、器材診断書を作成したなかで実際にあった珍しいトラブル
について書きます。

仲介業者様が間に入っている為、私たちは直接お客様と話す機会がなかったのですが
現地におられるお客様からきたメールを転送していただき、お聞きしたのは
以下のような内容でした。
 
「OH後のレギユをここ(海外リゾート)で初めて昨日使用しました。
潜行後、2〜3分して、突然エアーが吸えなくなりました。
その後、フリーフローしっぱなし、
レギュふっても叩いても改善なくエアーは吸えないのでオクトは使えたので
オクトで1本終えました。

ダイブ後、現地サービスの○○氏にレギュを見てもらったところ、
2ndのダイアフラム下のピンの位置が低過ぎて、ダイアフラムとピンの間の隙間が大きすぎ、
そのためピンが吸っても動かず吸気できないとのこと。
ネックでピンの根元を締めすぎの疑い①
だそうです。
 
力任せにピンを曲げられる機種ではない②ので、2ndのネックを分解して
そこでの締め上げを緩めないといけない③
といわれました。 
  
・・・以下、省略(ご立腹されていることがわかる文章及び補償についての要望等)。」

まず報告を受け、安全に潜る為にオーバーホールをして旅立たれたのに
危険を伴うトラブルが出てしまったことはとても遺憾で
幸いお客様のスキルや機転によって大事には至らなかったことに
胸を撫で下ろした次第です 

お客様・現地ガイドさん・仲介業者の方は作業ミスのせいでトラブルが出た
と感じておられる空気感をビシバシ受けながら 
でも状況説明から推測するに他に原因があると思ったので
器材の到着を待つとともに、まずは指摘を受けている内容を理解し
考えられる原因を挙げてみて、実際に器材が到着したときにどのような処置が
できるのか準備することにしました。

①ピンやネック。私たちには聞きなれない名称ですが、おそらく
 レバーの位置調整を低くしすぎた為、ダイアフラムに接地していないから
エアーがでない、という風に解釈しました。たぶんネックはオリフィスのこと。
  
②S-PROのR190等のシステムのことを仰っているのかもしれません。
 かなり昔、レバーを水平にしないといけないけれど水平がでない為、
本来は曲げてはいけないレバーを曲げて人為的に水平をつくる、
という作業の仕方をする方がいる、と聞いたことがあります。

③締めすぎているオリフィスを緩めないといけない、だと解釈。

まず、ここまでで推測できること 
当店のような専門店が、レバー位置が不完全な調整で出荷することは
まずありません。万が一、作業者の調整不全だとしても
ダブルチェックの出荷前点検でエアーが出ないことが判明するし
何より現地でセッティングして潜降2-3分後までエアーが出ることもない。
水中に入ったから、と突発的にレバー位置が下がることは考えがたい。
非現実なモノ(存在)の仕業?   
 
器材が実際に届いて診断した結果は次の通りです。
 
●不具合箇所レギュレーター、2ndステージ
●症状 
潜降2-3分後に突然エアーが吸えなくなり、フリーフロー開始。吐出量が著しく低下。
●診断結果
器材到着後、フリーフローを確認。 
フェイスカバーをはずしたところ、ご指摘の通り
ダイアフラムとレバーの隙間が大きくなっていることを確認。
ダイアフラムをはずすと、オーバーホール時に調整した位置よりも
レバーが低い位置に下がっていました。かつ、レバーに触れるとすごく動きが悪い。
何らかの引っ掛かりが考えられる為、分解を行ったところ
レバーがスムーズに滑らかに動くようになりました。

ケース内を拭き取りしたところ、黒いプラスティック片が出てきた
為、各部品の損傷(欠け)を疑い確認をしましたが、いずれの部品も
どこも欠けてはおりませんでした。
外部から混入した異物と思われます。
pic.jpg

伺ったお話と照らし合わせると、以下のように推測されます。
セッティングから潜降開始までは正常作動。
潜降2-3分後、器材内部に混入した異物が空気の流れにより
レバー可動部(スピンドルボディとレバーの隙間)に挟まり
レバーが下がらなくなった為、エアーが停止。
ふったり叩いたりして外部から衝撃を与えたことで、レバーが
下がったものの、異物が挟まっている為、今度はレバーが上がること
ができず、レバーが押されたままの状態になっている為、エアーが
出っ放し(フリーフロー)に。
下がって止まった位置が、完全に下がりきったところではなく
可動域の中間であった為、細いエアーが出続けた状態になったと考えられます。
 
●当店で行った処置
2ndステージ分解後、エアーで清掃をして、再度組立て調整を致しました。
●現地でユーザー試みることができる応急処置
タンクに接続して、2ndのパージボタンを押したり離したりを繰り返しながら、 
マウスピースから流水を入れる。うまく異物にあたり流しだせることができれば、
エキゾーストバルブから異物が外部に排出されます。
異物の大きさや挟まった箇所によっては、分解しなければ取り除くことはできませんが、
万一同じような状況に遭遇された場合は、是非試してみてください。

今回のようなケースは予防しがたいことかもしれないけれど、
幸いだったのがトラブルに遭われたダイバーさんがスキルと冷静さをお持ちで
呼吸源をオクトパスに変える機転をなされたこと。
スキルアップをして経験を積むことで、より安全なダイビングができる
といえる事例だと思います。

それから、器材を診てくださったガイドさんはすごく親切ですよね。
現地で、器材の部品ひとつひとつまで原因を考えてくださる方はそんなに
いないのではないかと思います。
一般的に起きうるトラブルではないので、今後のお役立てになればと
差し出がましさよりそっちの気持ちの方が勝ったので、診断結果と
現地で可能な応急処置の方法含め、ご連絡をすることにしました。
 
私たちはお客様が現地に旅立つまで&帰ってきてからしかフォローできませんが
現場におられるインストラクターの方たちが、より質の高いサポートをしてくださることで
ダイバーのみなさまがより安心して潜れるようになるのでは、という想いを持って―
 
珍しいケースですが、オクトパスにくわえかえることや現地でできる
応急処置を含め、是非頭の片隅に残しておいてください


 
ダイビング器材&オーバーホールのエキスパート  
i buddy アイバディ
http://www.i-buddy.net 
 
  
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プロフィール

Tama

Author:Tama
ダイビングインストラクター、器材&オーバーホール専門店Staff

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